虹釜太郎の日記

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人生は驚きに充ちている

『人生は驚きに充ちている』という篇を探して読んでみた。著者名は書かないが、この篇では『血みどろ贓物ハイスクール』と『幸福の遺伝子』(344頁あたりのなげやりなやつ)を思い出した。労働とは。バイトとは。週刊ジャンプ最盛期の日雇いバイトも思い出す篇だった。そのバイトはあまりにミニマルなためその日のうちの中途脱落者も複数いた。朝まで耐えれば最盛期は一万七千円もらえるのだが、二回めの休憩や、ラストの休憩でバックれる人もいた。これやると人間破壊バイトだけあって二十時間は何もできなくなる。でもラスト休憩でいなくなった人がいたことがわかった日はとにかくせつなくなった。あと90分我慢すればがその人はできなかった。もちろん0円。この当時電子書籍は普及してなかったけど、紙すなわち地獄ゆえあらゆる漫画雑誌の電子化をだくだく願いながらバイトした。歴史上いろんな奴隷労働があるけれど。『幸福の遺伝子』のフロリダ大学のシンポジウムの描写はとてもくだらなくてなげやりでいい。あらゆる寛大な答えを出す人間以外の友と死ぬために準備しよう。

栗原洋一

書肆子午線から以下の新刊が。

栗原洋一詩集『岩船』

『吉田』『草庭』で知られる孤高の詩人の26年ぶりの新詩集。栞=稲川方人・林浩平9月下旬刊行。

書肆子午線から刊行されている本は、どれも大手出版社では読めないものばかりですが、最近では瀬戸夏子さんの『現実のクリストファーロビン』が何度読んでもおもしろく、女性の短歌史のとこや、『クズとブスとゲス』評、クビレ問題や雪の狭間評など瀬戸さんのあっけらかんとした爆破力としつこさと軽さと鋭さが爆発しています。瀬戸さんは、葛原妙子のことを、すごく微細なところをみる能力と言いましたが、瀬戸さんにはそれに加えて、澱んでるところを、落ちると喪うの現実はどうなのかと、観察しながら起爆し、それをまた冷徹に直視し続けるところがあって、多くの人が結局なあなあにしてしまうところを瀬戸さんは見逃さないが、満月まで十五秒の階段にて、みたいなところもある。



『現実のクリストファーロビン』は書店でも売ってるみたいですが、見当たらなければ『現実のクリストファーロビン』で検索すると、子午線サイトにも。この本きっかけで『水牛の余波』が読みたくなりました。










書肆子午線刊行の本はおもしろい。定期刊行の雑誌もあるので、音、映画関係者や数学者、科学者もぜひ。

アラルコン

ダニエル・アラルコン『橋』はかなり既視感がすごかった。
このレコードに終わりがないと思ったがレコードは終わってしまった…
レコード屋がつぶれてしまったのを思い出してうんざりした。『パターソン』的な世界。思ってた以上にうんざりぐったりする

クノー

『あなたまかせのお話』に収録の「通りすがりに」がよすぎて四回も通してしまった。
この短篇以外もどれもよいんですが、「結局あたしのこと愛してないのね」の本作はシンプルながら不滅のおもしろさで、おもしろすぎてつらくなってくるんですね。
クノーの説明はクノーレペゼンが熱い水声社ブログより「…作家? 編集者? ウリピアン? アマチュア数学者? 元シュルレアリスト? ガリマール社で百科全集の編集を担当し、マルセル・デュシャンウンベルト・エーコも参加する秘教的な芸術研究集団《コレージュ・ド・パタフィジック》の中心的メンバーであり、奇妙キテレツな文学集団《ウリポ》の発起人でもあり、またその作品もSFから偽名小説、自伝的小説など多岐にわたり、様々な顔を持つレーモン・クノー」ウリポスクールみたいのが日本で日本作家がやっても売れそうにないのがつらい。日本だと青木淳悟円城塔…違…誰なんだろ。2020年は日本でも潜在文学短篇集を編んでみたらどうでしょう。そんな編集者が日本にいるならいいな。『あなたまかせのお話』収録のでは「言葉のあや」も最高でこれも六回読んだ。

岡本かの子

 『家霊』なぞ一生読むとは思わなかったが、たまたま読んでみたところ……

さらし鯨、河豚、鼈、鯰と勇気→宿命と敬虔な気持ち→救いが空回りして、女は歳をとる
しみじみと女なる身の懐かしさ

しみじみとどじょうなる身の懐かしさ

しみじみとさらし鯨なる身の懐かしさ

しみじみとすっぽんなる身の懐かしさ

しみじみとなまずなる身の懐かしさ


『家霊』の出来がどうこうより上記のエコーを鳴らすかどうかだと思った

エコーと同居して暮らして餌食を探すエコーに「ほ ほ ほ ほ ほ ほ」と


やりきれないどじょう汁で、この地はやっぱり湿度が高過ぎる


『家霊』岡本かの子


岡本かの子の短篇はAIと相性良さそで、そこで生まれるゾンビ作品たちも餌食を探すエコーに「ほ ほ ほ ほ ほ ほ」とただただあっけなく受け入れられそう…